2015.11.19

ラグビー・トップリーグ、満員札止め(?)で開幕

ラグビー・ワールドカップ(RWC)・イングランド大会での日本代表チーム大活躍の熱気が冷めやらぬ中、国内リーグであるトップリーグの2015-16シーズンが、開幕節数試合分のチケットが前売り時点で完売するという、トップリーグ史上例のない “異常な” 状況下で、先週幕を開けました。

11月13日の秩父宮での開幕戦も全席前売り完売となり、今まで私が長年やってきて失敗したことがなかった “当日券を買って観戦” ができないため何とか入手したチケットでの観戦となりました。DSC_0833この開幕戦は3連覇を狙うパナソニックと王者奪還を狙うサントリーというビッグな対戦カードだったのですが、この両チームは、合計11人ものワールドカップ日本代表メンバーを輩出しているだけでなく、南アフリカやサモアの代表メンバー等も何人も在籍している、いわば国内2大最強チーム。

試合は、日本代表のウィング山田章仁選手の前半での2トライを皮切りに、後半にはフライハーフからの絶妙なキックパスを見事にキャッチしてトライを決めた南ア代表のJ.P.ピーターセン選手などの好プレーで38対5とパナソニックの圧勝だったのですが、サントリーも唯一のトライはサモア代表のトゥシ・ピシ選手が決めており、全体的にはワールドカップの各国代表メンバーの活躍が光る内容でした。

この日、私が活躍を楽しみにしていたサントリーに所属している南ア代表の2選手(先日のRWCで大車輪の活躍を見せたスカルク・バーガーと、キャプテンを務めたフーリー・デュプレアの両選手)はワールドカップ後の休養のためかベンチ入りはせず、スタンドの選手席からの “観戦” だったのがちょっと残念でしたが、ワールドカップはもう過去のこと、とでもいう意味なのか、バーガー選手はトレードマークの長めの金髪を短く切り、すっきりした表情でデュプレア選手とともに試合の行方を真剣に見守っていました。

さて、この試合の前日に開催されたラグビー・フォーラムでは、日本代表ジェネラル・マネジャーの岩渕健輔氏とラグビー・ジャーナリストの村上晃一氏が対談形式でRWCイングランド大会での日本代表の活躍を振り返ったり、4年間におよぶ代表チーム作りの苦労話や裏話、ヘッドコーチだったエディー・ジョーンズ氏の素顔、2019年に日本が開催国となる次回WCに向けた方針や課題などについて、両氏のいつもの軽妙なやりとりで披露してくれました。

これからの日本のラグビー強化の課題としてフォーラムで岩渕氏が力説していたのは以下の点でした。

(1)海外の強豪チームとの試合を可能な限り増やすこと

(2)選手のみならず指導者やレフェリーもどんどん海外の強豪リーグに出て経験を積むこと

(3)ラグビーユニオンの世界統括組織であるワールドラグビーとのパイプを太くすること

詳細は明らかにされませんでしたが、すでに来年は6月、7月、11月にTier-1の国を含む強豪国とのテストマッチの開催がほぼ決まっているそうです。また、選手のレベルではすでにここ2〜3年でスーパーラグビーに参加する日本選手が増え、その全員が日本代表メンバーとしてRWCでも活躍をしました。そのスーパーラグビーの2016シーズンには日本の参加が決まっており、開幕まであと3ヶ月余りとなりました。

また、先週来日していたワールドラグビー会長のラパセ氏は「日本はラグビーの世界展開上、最重要国の1つであり、南半球の “The Championship” への参加も後押しする」とまで発言しています。

フォーラムの第2部、会場から集まった質問に答えるコーナーでは、平素のフォーラムで出される質問票の3~4倍ほどの数が集まり、ここでもラグビーへの関心が急激に高まったことを窺うことができました。

当然ながら出てきた代表的な質問は、「次期ヘッドコーチは誰か?」でしたが、驚いたことに一番多かった質問・コメントは「代表チームはさまざまなことを変えたことで成功を収めたが、協会自体はどのように変わろうとしているのか?」「いままでと同じことをやっていてはラグビー人気は一過性のブームで終わってしまうのでは?」等々、国内の統括組織に対する不安と期待が入り交じったやや批判的ともとれるものでした。

こともあろうに、13日の開幕戦・・・満員札止めのはずの秩父宮はバックスタンドサイド席やゴールポスト裏の客席はガラガラで、協会が急遽会見を開いて陳謝する事態となりましたが、これもワールドカップによって国内の状況も急に、且つ大きく変わったことに対応しなかった結果と考えれば、この事象はわれわれの平素のビジネスにおいて他山の石とすべし、ということでしょうか。秩父宮

ラグビー界には各方面でますますダイナミックな動きが必要になることでしょう。2019RWC日本大会にむけていっそうの奮起に期待しましょう。

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