田中一村展
田中一村(たなか いっそん)展を上野の東京都美術館で鑑賞しました。
私は彼の生い立ちや作品をよく存じませんでしたが、強烈な印象を覚えました。
図録も購入しましたので、少し紹介させていただきます。
田中一村(本名:田中孝)は1908年に栃木県で生まれ、
木彫家の父親の影響か、7歳の頃には南画(水墨画)で才能を発揮し、
神童と呼ばれるにふさわしい作品を次々に描きあげ、東京藝術大学に入学。
同期には東山魁夷らがいたそうです。
しかしながら、学校への不満や父の病気など不遇もあり、
わずか3か月足らずで退学してしまいます。
その後ほとんど脚光を浴びることなく、
1931年には南画と決別し日本画に生涯を捧げることになりますが、
芳しい評価を受けることはあまりありませんでした。
その間、制作拠点を千葉においたものの、50歳にして一村は奄美大島行きを決意しました。
奄美大島では仕事に就きながら制作活動に没頭し、
次々に南の島の美しい風景などを表現していきます。
この頃には南国の豊かな自然に作風も影響されたか、
色彩もより鮮やかなものになり、亡くなる69歳まで奄美で制作を続けましたが、
残念ながら生前には高い評価を受けることは少なかったと言わざるを得ません。
しかしながら、没後、一村の秀逸な作品がNHKなどのメディアで取り上げられるようになり、
その独特かつ圧倒的な画風が評価され、
安住の地を南の島に求めたことからも日本のゴーギャンと称されるようにもなりました。
そして、本人の念願でもあった最大規模の回顧展がこのたび東京都美術館で開催され、
250点を超える多くの作品には、連日多くの方々が魅了されています。
3か月足らずで退学した東京藝術大学に程近い上野で開催されることを、
一村はどのように思っているでしょうか。
この「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」は12月1日(日)まで開催されています。
詳しくはこちらをご覧ください。https://isson2024.exhn.jp/
上野の森ではこの田中一村展のみならず、芸術の秋にふさわしい展覧会が行われています。
一方、動物園では日本一の入場者数を誇る恩賜上野動物園も連日家族連れで賑わっています。
上野動物園と言えばパンダを思い浮かべる方が多いと思いますが、
ご来園の際にはパンダと併せて是非ハシビロコウ(ペリカン目ハシビロコウ科)もご覧になってください。
ハシビロコウは浅瀬に上がる魚の狩りするため、じっと立ち止まって待つ習性があります。
そのため数十分観察しても動きが見られないことが日常ですが、
上野は比較的動きを見られる傾向にあると思います。
(あくまで私見ですが)数分で見られたあなたはラッキーです。
美術館・博物館の鑑賞後に動物園へ足を運ぶのも、
上野の森ならではの贅沢なお楽しみコースですね。