2014.09.03

世界の行方を左右する(?)2つの投票

20140903早いもので今年ももう9月になりました。今月、英国では注目される投票が2つ実施されます。その1つは、18日に実施される、現在の英連合王国を構成している4つの国の1つであるスコットランドの独立の是非を問う住民投票で、過半数の支持で独立が可能になる、とのことです。英国政府は投票の結果を尊重する、と既に表明していますが、金融当局は通貨について、独立した場合は英ポンドは使わせない、などと牽制球をしきりに投げているようです。現地の報道等によると、現時点では6対4で現状維持派が有力のようですが、独立派の地道な活動の成果もあって支持が拡大しているとの報道もあり、予断を許さない状況のようです。 この住民投票の結果は、世界経済や欧州体制に及ぼす影響のみならず、セントアンドリュースをはじめとして全英オープン等が開催されるゴルフコースの大半がスコットランドにあることからも、行方が大変気になります。

もう1つは、そのゴルフ界を米国のUSGAとともに全世界レベルで統括しているR&Aの一部門である “The Royal & Ancient Golf Club of St. Andrews” が、設立以来260年間守り続けている “クラブメンバーは男性のみ” という「伝統」を返上して女性にメンバーシップを解放するか否かが、2,500人の現メンバーの投票により決められます。

2012年に、マスターズの舞台であるAugusta National Golf Clubがやはり男性オンリーの伝統を破って2名の著名な女性をメンバーに迎えたことは記憶に新しい出来事ですが、この時セントアンドリュースは「当方ではそのようなことを検討はしていないし、その予定も無い」と明言しました。しかしその後、英国政府の閣僚からも「検討すべきだ」という声があがったり、スコットランドの首相が昨年ミュアフィールドで開催された全英オープンの関連行事への参加を、同様なポリシーを貫くミュアフィールドに抗議の意を示すために拒絶したりと、にわかに “アゲンスト・ウィンド” が強くなったようです。

こちらの投票について大方の報道では、「解放に是」が大勢を占めているようです。英国の伝統と格式を重んじるゴルフクラブには、「レストランではジャケット着用必須、スパイクでの入室禁止」のように、他にも多くのしきたりや慣習が残っていますが、女性へのメンバーシップ解放は「時代の流れ」というべきことなのでしょう。セントアンドリュースやミュアフィールドだけでなく、全英オープンが開催されるコースだけをみても、ロイヤル・セント・ジョージズやロイヤル・トルーンなど他にも多くのゴルフクラブが男性オンリーの伝統を維持しています。今回のセントアンドリュースの投票の結果が他のクラブにどのような影響を及ぼすのかも含めて、今後の動向に引き続き注目したいと思います。

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