中国事情(1)スポーツ観戦記
10月31日(日)、国際線新ターミナルからの就航初日を迎えた羽田空港から中国の上海へ。今回は上海、北京に1週間を過ごすことになり、折角なので中国のスポーツ事情を体感しようと、滞在期間中に行われていたスポーツイベントをいくつか観戦しましたので、レポートいたします。
■男子ゴルフHSBCチャンピンズ(上海シャ山国際GC/11月4-7日)
この日は初日、世界ランキング1位(11/14現在)のリー・ウェストウッドや中国でも人気のタイガー・ウッズ、2010年マスターズ優勝のフィル・ミケルソンなど、世界の名だたる選手が出場する他、日本からは石川遼、池田勇太選手など8人の選手が出場していることもあり、中国国内でも注目されていました。
ちなみに中国語といえば表記はすべて漢字。北京五輪でおなじみになったと思いますが、外国人選手もすべて漢字に訳されます。石川遼選手の「遼」も中国語風。初日ペアリングシートを見ると、石川選手と同組(#17)なのは、イアン・ポールター、ニック・ワトニー。#18のところには泰格・伍茲(美国=アメリカ合衆国)とタイガー・ウッズの名前が。#20の李・維斯特伍徳はリー・ウェストウッドのことで、二番目がフィル・ミケルソンです。
ギャラリーは、中国人や欧米人、日本人など、国際大会だけあって国際色豊か。まだ国内では発展途上のスポーツということで、ギャラリーにゴルフマナーを身につけてもらおうと大会側も多くのスタッフを配置し、「プレー中の移動禁止」や「プレー中の写真撮影禁止」などマナーの徹底を図っていました。
今大会の1日チケットは500元(約8,000円)と、都市部でも平均年収が40万円弱という中国においては、ゴルフはまだまだ富裕層のスポーツといえるでしょう。しかし、繁華街には各種スポーツブランドショップが軒を連ね、ゴルフウェアをファッションとして楽しむ若者も出現しているのだとか。今後は中国でも余暇を楽しむ娯楽として、またビジネスツールとして、中国におけるゴルフはますます注目です。
■フィギュアスケート・グランプリ(GP)シリーズ中国杯(北京首都体育館/11月5-6日)
ウィンタースポーツの花形、フィギュアスケート。2003年から中国でグランプリ(GP)シリーズで行われています。場所は北京の「首都体育館」(下段左画像)、2008年の北京五輪ではバレーボールの会場として使用されたところで、未だに場内に「Beijing2008」のロゴが見られました・・・
私が観戦したのはショートプログラムでしたが、女子では安藤美姫選手が3位、鈴木明子選手が2位、男子は小塚崇彦選手が1位と日本人が上位を占める好結果。そして、ご存知の通り、総合では安藤選手、小塚選手のアベック優勝という最高の結果を修めました。一方、地元中国の選手はというと、シングルの結果は奮いませんでしたが、ペアは1、2位を独占しました。ペアの振り付けで見られる男性が女性が投げ上げるような技は中国ペアが産み出したのだとか。さすがアクロバティックな技はお得意なようです。
また演技終了後、ファンがリンクに向かって投げるプレゼントや花束を拾う子供スケーターはスポーツのエリート教育を受けているアスリートの卵たちなのだそうです。スポーツの英才教育が盛んで、さまざまな種目で頭角を現し始めている中国スポーツを見ると、数年後、この子供たちがトップスケーターになって演技をする日も遠くないかもしれません。
■中国サッカー超級リーグ 北京国安vs江蘇舜天(北京工人体育場/11月6日)
北京市内にある競技場で行われたこの日の試合は今季最終戦でした。サッカーは中国国内ではバスケットに次ぐ人気といわれています。なかでも一番の人気は欧州リーグですが、国内サッカーの底上げをしようと1994年に創設されたのがこの超級リーグです。リーグとしてまだまだ発展途上かもしれませんが、地元のチームを応援するサポーターたちの熱さは他に引けをとりません。
北京国安のホームということで、9割以上が国安のサポーター(下段左画像)。一般的にサッカーは「ホーム」「アウェー」がはっきりしたスポーツですが、中国はその国土の広さゆえに、地元の試合以外はなかなか応援に行けないという事情があります。それでも会場の一角に陣取った舜天(本拠地:江蘇省南京市)のサポーターたち、会場の覆い尽くす国安サポーターから怒涛のように押し寄せるブーイングにも負けず、かなり力のこもった応援を繰り広げていました。
中国に限らず、サッカー観戦は非常にヒートアップするもので、時にはスタンドからペットボトルなどが降ってくるようなことも。サポーター同士が衝突することを恐れ、予め場内は厳戒態勢が敷かれていました。先日、広州アジア大会で日本vs中国の試合(U21)が行われた際、物々しい厳戒態勢の模様が報道されていましたが、これはなにも日本戦には限りません。この日も数十台の公安バスがずらりと駐車場に並び、まるで舜天チームのサポーターを護衛するかのように、機動隊が列をなす。そして、グラウンド内にもスタンドに向かって厳しい目を向ける警備員たちの姿が。何とも言えない緊張感の中でのサッカー観戦は、初めての経験でした(下段右画像:電光掲示板下に陣取るのは機動隊などの警備要員)。
試合はというと、両チームともチャンスを生かせないまま後半を迎え、ようやく国安がゴールを決めて、1-0国安勝利で終わりました。また、幸いこの日は騒動も起きず、試合終了後は静かな競技場へと戻っていきました。