はじめまして
はじめまして!今年4月に入社したピチピチでもない新入社員薮野です。
4月からだいぶ時間がたってしまいました。気が付けばTPIに入社してから早5か月…入社していきなりマスターズが始まり、6月にはLPGAツアーのアース・モンダミンカップの運営に携わらせていただくなど、エキサイティングな日々を送っております。エキサイト!毎日本当に勉強ですよ。失敗もたくさんして凹みます。が、私はスーパーマンではないので地道に努力していくしかないなと思っています。免許も持ってないし!
さて、おもしろくも興味もない自己紹介はここら辺にして何かおもしろいことを書こうと思います。いったい何を書くかって?マスターズ?モンダミンカップのこと?現代日本の問題点についてかな?いいえ、先日観た映画についてです。
※ネタバレになってしまうかもしれないので、嫌いな方は飛ばしてください。
「最強のふたり」(2011、フランス 現代:Les Intouchables ※アンタッチャブル)
日本一般公開までに半年以上かかりましたね!映画会社仕事してください!(笑)
ヨーロッパでかなり売れたらしく、現地公開直後にフランス人と台湾人(フランス在住)から「いい映画だから観なヨ」とお勧めされました。ステマですか?
映画に対して斜に構えている薮野としては、「お涙ちょうだいものか」とひねくれた先入観で映画館に足を運びました。が、結論、いい映画でした…。最近は珍しい「笑わせてしんみりさせる」映画でした。薮野は斜に構えていると自負している割に、「海猿」でも「タイタニック」でも、観ると泣いてしまいます。だって人が死んだり、傷つく姿を見るのは、フィクションとはいえ悲しいからです。でも後味悪いんですよね。だからそういう物語より、チャップリンみたいな「笑顔で切ない」映画が好きです。
簡単にあらすじを説明すると、事故で首から上以外は全身麻痺の大富豪(フィリップ)が、失業手当目当てで面接に来たやる気のない、でもユーモアあふれる黒人青年(ドリス)を雇うことから物語が始まります。ドリスはフィリップに対して障碍者であることを冗談にしたり、障碍者であることを忘れた振る舞いをして周囲をひやひやさせますが、それがフィリップには新鮮で…というストーリーです。印象的なのは、ドリスの結構きつい&しつこいブラックジョークに対して、一瞬フィリップの少し傷ついた(?)表情のカットが入りますが、それに対する彼の台詞がないことです。フィリップにとっては傷つくことも嬉しいことなんだと薮野は解釈しています。生きてるから苦しいのさ。でも、フィリップの誕生パーティーでのダンスシーンで、身動きひとつできないフィリップとは対照的に、マイケルばりに踊るドリスの「脚」の動きを追ったカットがたくさん出てくるのには胸が締め付けられました。楽しいシーンなのに…ぶわ。ほかにも書きたいことはたくさんあるのですが、5ページくらいになりそうなので自分の日記につけておきます。優しい気持ちになりたい方にはお勧めできる映画です。ステマじゃないです。
最後になりますが、薮野は映画が好きなので、これからも映画の感想を書き散らかしていきたいと思います。では!
中国女子プロゴルフトーナメント@武漢
8月中旬、中国女子プロゴルフツアーの1戦「武漢チャレンジ」を視察しました。中国女子プロゴルフツアーが発足して4年目、中国の沿岸部を中心に年間11試合のトーナメントが行われており(2012年度)、中国、タイ、台湾、韓国など出身の選手が出場しています。
武漢は湖北省の省都で、人口900万を超える大きな都市、市中心部から30分程度のところに位置するため、ゴルフ場のバックに高層ビルというなんとも不思議な光景が見られます。残念ながらギャラリーの姿はほとんどなく、日本のようなギャラリーサービスがない大会が多いのが実情ですが、インターネットでの生中継など、中国ならではのメディア活用もなされていました。年20%を超える成長を続けているという中国のゴルフ市場ですが、まだまだ一部の富裕層によるスポーツで、ゴルフのルールを全く知らない人々も多く、トーナメントを観戦する風土が育つには時間を要するというのが正直なところです。しかし、2016年のオリンピック正式種目復活で、国策としてゴルフ選手強化に乗り出しており、またフォンシャンシャンを始めとする選手がすでに世界のトップクラスに上がってきていることを考えると、今後中国におけるゴルフは注目のスポーツと言えるでしょう。
大地の芸術祭
お盆休みを利用して越後妻有アートトリエンナーレに行ってきました。トリエンナーレとは3年に1度開催される国際的な美術展のことですが、1990年代後半ごろより日本でも増えてきており、ひとたび目を向けると、日本中で実に様々な現代美術展が開催されている事が分かります。私自身もこれまで横浜トリエンナーレや瀬戸内国際芸術祭など見てきました。作品に対する予備知識がそれほどなくても、感覚的要素で楽しめる、それが現代アートの醍醐味かもしれません。
新潟県の十日町市・津南町を中心とした東京23区と同等の大きさの広い地域にアート作品が点在しています。新潟の山間とあって、過疎化、少子高齢化を深刻な問題としている地域に、アートを切り口にした町おこしのプロジェクトとして、この祭典は2000年に始まりました。恒久作品と今回新たに作られた作品が入り混じって新しい視点を呼び覚ましてくれます。
3日間の日程で、鑑賞パスポートを購入し、数え切れない作品を回りました。初日は主要作品を巡るバスツアーを利用し、2日目はレンタサイクルで約40kmの道のりを走り、最終日は電車やバス、タクシーを使って回りました。作品の1つとなっているキャンプ村に宿泊したのも面白い体験でした。ここで紹介しきれないほど魅力的な作品が多いのですが、一部ご紹介します。
◆最後の教室
この地域ではいくつもの学校が廃校となっていますが、この作品もその廃校を舞台にし、「人間の不在」を表現しています。教室や体育館に置かれたオブジェは死を思わせ、暗い校舎を恐る恐る巡っていると、理科室からは心臓の鼓動のような音が聞こえてきて、肝試しのような気分になりますが、不在によって、人々が残した痕跡があぶりだされるような作品です。
◆風の音
作品があることを示した立て看板に導かれ、急な山道を200mほど上ると一気に視界が開け、やわらかい風鈴の音が聞こえてきました。数えきれない風鈴が木に取りつけられ、風が音を奏でる空間は居心地がよくて、いつまでも聞いていたいと思うほどでした。ふいに背中の曲がった地元のおばあさんがこの広場を足早に通り過ぎ、この土地の人々の生活と作品が融合していることを感じさせました。
◆棚田
農舞台というアートスペースから、稲作に関する詩と棚田に置かれた彫刻を棚田の背景に重ね合わせて見る、ウクライナのアーティストによる作品です。この田んぼの持ち主は作品として使われる事に当初強く躊躇したようですが、アーティストが説得を重ね、実現したそうです。
◆光の館
ジェームス・タレルというアーティストが光を表現した家です。光が美しく取り入れられるように設計され、メインとなる畳張りの部屋の正方形に切り取られた天井を仰向けになって眺めると、まるでそれが絵画作品の様に空の表情をまざまざと感じることができます。この家は一定の人数で貸切で宿泊することも可能で、一晩中、光の変化を体感することができる作品なのです。
作品は地域の伝統がモチーフになったものや、使われなくなった民家や廃校が舞台になっているものが中心です。風景に溶け込み、車で走っていては見落としてしまいそうな作品もあります。周辺住民の理解を得るのは時間がかかったそうですが、アートとして取り上げられることで、この地域の特徴や魅力の再発見につながっていて、地域再生の面白い試みだと感じます。
最後に星峠という集落の美しい棚田を眺め、これも自然の中で人が作り上げた芸術作品だなと思いながら、この棚田を守っている人々のことを尊く感じました。
公開されている作品は全部で367点あるそうで、3日間ではとても見きれず、後ろ髪をひかれながら越後を後にしました。来年は瀬戸内国際芸術祭やあいちトリエンナーレなどの大型イベントも予定されています。地域の新たな魅力を探しに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょう?