The Blind Side(幸せの隠れ場所)
いきなり映画のタイトルですが、この映画は実在するNFLボルチモア・レイブンズの選手(レフトタックル)、Michael Oher (マイケル・オァー)の半生を書いた『The Blind Side: Evolution of a Game』(マイケル・ルイス著)というベストセラー小説がベースになっています。
2009年のアメリカ映画で、日本公開は今年の2月。あらすじはというと、”全米で誰もが知っている黒人スター選手。彼は家も愛もない子供だった。その少年と、彼を引き取った家族との絆を描く感動の実話”(ワーナー・ブラザース映画)。サンドラ・ブロックがアカデミー賞主演女優賞、ゴールデングローブ賞主演女優賞 (ドラマ部門)などを受けています。
当社はアメリカンフットボールについても創業当初からNCAA(全米大学体育協会)の有名校を日本に招聘、パイオニアボウル (Pioneer)、ミラージュボウル(三菱自動車)、コカ・コーラボウルという冠大会を開催しておりました。当時、私もアメリカ支社に勤務しており、毎週のように全米にある大学のキャンパスを訪問しておりました。
先日、出張の際に映画は見たのですが、原作を読みたくなり、キンドル(Amazon Kindle)で購入して読みはじめました。近年のアメリカンフットボールのゲームの変化なども含め面白くてあっという間に読んでしまいました。写真は日本で発売されている本(ランダムハウス講談社刊)ですが、個人的には“アメフトがもたらした奇蹟”という日本語版の副題はいかがなものかと思います。まあ、ブラインド・サイド(死角)といわれても分かる方はいらっしゃらないでしょうし、映画の邦題“幸せの隠れ場所”よりはまだましかも、、
以下は主人公マイケル・オァーの里親、トゥイー夫人のコメントです。
”Now, y’all would guess that more often than not, the highest paid player on an NFL team is the quarterback. And you’d be right. What you probably don’t know is that more often than not, the second highest paid player is, thanks to Lawrence Taylor, a left tackle. Because, as every housewife knows, the first check you write is for the mortgage, and the second is for the insurance. The left tackle’s job is to protect the quarterback from what he can’t see coming. To protect his blind side.”
”NFLのチームで一番給料が高いポジションはクオーターバックだってのは皆知ってますよね? 二番目に高いのはオフェンシブ・タックルよ、、何故かって? 主婦なら一番よく分かるはず。毎月一番お金のかかるのが住宅ローンで、その次が保険料でしょ? 貴重なクオーターバックのブラインドサイド(死角)を守るのが大切だってこと” ローレンス・テイラーが教えてくれたのよ(ローレンス・テイラーはNYジャイアンツのデイフェンシブタックル。85年にレッドスキンのQB、ジョー・サイズマンを引退に追いやったタックルをしたことで有名)。
つまり、ブラインドサイドとは右利きのクォーターバックにとってパスを投げる際に死角となる左側のサイドのことで、レフトタックルというポジションは相手チームからクォーターバックを守るので重要視されているわけですね。
NCAAの選手になるには運動能力だけでなく学力も必要ですし、その両方あってもドラッグや暴力事件などでフイにして、最悪の場合にはNFLではなくjail house (監獄)に行ってしまった優秀なアスリートがいます。今回原作を読んで印象に残ったのは、コカイン中毒の実母から離れ、マイケルがまったく環境の異なる上流階級の家に世話になったこと。そして、それを受け入れた勇気ある家族。あとは、アメフトのゲームの進化(?)と、それに要求される選手が大学だけでなく、高校生の頃から注目されている点です、、