Je Suis Charlie
先週、パリでのイスラム過激派によるジャーナリスト襲撃事件のニュース報道を受けて、多くのマスコミだけでなく人々が”Je Suis Charlie”のメッセージを掲げている画像をご覧になった方も多いかと思います。“私はシャルリー(をサポートしてます)”と言うメッセージです。
しかし、この事件を見て1991年7月11日に日本で起こった事件を思い出した方はいらっしゃいますか? 当時、筑波大学助教授の五十嵐 一(いがらしひとし)さんが何者かによって殺害された事件です。 当時五十嵐さんは反イスラムのサルマンラシュディ氏の「悪魔の詩」を日本語訳にした事でターゲットとなり、当時“悪魔の詩訳者殺人事件”と呼ばれた未解決事件です。当時の日本では反イスラムの報道ばかりでした。
事件の報道だけを見ると、イスラム教=悪い宗教と考える人が増える事も危惧されますが、“イスラムの教え=過激派という事では無い”というメッセージをフランスや海外のメディアでは必ず扱っている姿勢は今回の事件を“報道の自由”に対する襲撃として扱っているものでした。
先日”The Hundred Foot Journey” という映画を見ました。インド人家族がフランスに移住して、地元の有名フランス料理店の向かいにインド料理レストランを始めて、、、というストーリーですが、そのフランス料理店の若いシェフがインド人家族に嫌がらせをしたり、暴力を振るったりした事を知った名女優のHelen Mirren演ずる女性オーナーに見つかり、翌日スタッフ全員を集め、その襲撃した本人にフランス国歌La Marseillaise (ラ マルセイェーズ)を歌わせ、その意味を問うシーンがありました。
国歌はもともとフランス革命の頃の革命歌だそうで、フランス国歌の訳は日本ではあまり知られていませんが、内容はかなり過激です。一番の冒頭から、“行こう祖国の子らよ、栄光の日が来た! 我らに向かって敵の血まみれの旗が揚げられた、 聞こえるか戦場の模様が? 奴らは我らの元に来て、我らの子と妻の喉を掻き切る”そして、“武器を取れ、隊列を組め、進もう、進もう”というコーラスが続くのですが、かなり攻撃的な内容ですよね。
話が長くなりましたが、フランス料理店の女主人が5番の歌詞の“フランス人よ、寛大な戦士として、攻撃を与えるか控えるかを判断せよ! あの哀れなる犠牲者を撃つ事なかれ、心ならずも我らに引きをとった者たち”を引用して“フランス=自由”を語った事を思い出しました。
自由への襲撃とも言える一連のテロ活動ですが、報道する立場も反イスラムを語るのではなくあくまでも“事実”を報道する姿勢が印象的でした。