日本はなぜ敗れるのか
先日、太平洋戦争を経験された方から”今の政府や東電の原発関連の発表や国民の反応は戦時中と同じだ”とのお話を伺い、以前読んだ山本七平さんの「日本はなぜ敗れるのか」を引っ張り出してきましたが、あまりにも戦中の日本と今の電力会社や政府の言動や一般の反応が似ているのでびっくりしました。
著者の山本氏は「日本人とユダヤ人」などを執筆され、日本人の分析に関しては賛否両論で話題になった方です。太平洋戦争を経験されたクリスチャンの方で、自の戦争体験や日本人に対する考えを中心に書かれていますが、実際には小松さんと言う方が戦時中、化学系の技術者として海外赴任中に経験された事を「虜人日記」を書かれておりその「敗因21か条」が元になっており、この本の副題にもなってます。
本書で言われている日本人の精神論による行動などは今だからこそ認識すべきと痛感しました。
たとえば”日本人は長期間の戦闘にはなれておらず、太平洋戦争の頃には国民の多数が既に戦争に飽きてしまい、疲れていた”と言う指摘がありました。たしかにそれまでの日清、日露戦争も短期決戦でした。 ”日本人は瞬発的には頑張れるけど、だらだら続くものには耐えきれずに「底なしの退廃」を生む”と本書は指摘しています。電力会社からは原発の工程表が発表されて、来年の3月までに収束と言っておりますが、最近のトラブルなどを見ると”想定外な事”が多過ぎてまず無理ですし、これから長期間続く事を考えるとこの言葉の意味が恐ろしくなります。 おそらくこれから何年も続くであろう原発との対応に我々”日本人”は耐えられるのでしょうか? われわれ日本人が戦争末期の「今更ひけない」と言う空気に支配され、玉砕、原爆、そして敗戦へと引きずられた事と同じだと言う予言として、いや忠告として考えた方が良いですね。
海外のメディアで流れている原発で起こった水素爆発の映像などは日本では見た事もありませんが、そんな政府発表や記者クラブの意見をそのまま流すマスコミの対応も”大本営発表、、、”と同じだと、戦時中のお話を伺った方が言ってました。
震災からもう3ヶ月、これから日本はどうすれば良いのか? こう云う時だからこそ、ぜひ読んでみてください。 首相や政府、電力会社など「悪者さがし」をしてそのせいにする野党の方だけでなく、われわれも日本人の考えの中にある問題点について受け止める態度も大切かと思います。