ニーチェの言葉
最近のデフレと将来への不安が影響でしょうか、自己啓発本の類いがベストセラーの上位を独占しています。電子書籍の影響で紙の本は元気がなかったんですが、それでもドラッカーとか日本一になったセールスマンの話とかが書店の店頭に高く積まれてます。
この「超訳 ニーチェの言葉」(ディスカヴァー・トゥエンティワン社)という白取春彦さんの“超訳”本!! とにかく“超”が付いている“訳”なので参考までにと思い衝動買い!
フリードリヒ・ニーチェのことは高校の頃の倫理の授業や、大学時代にドイツ語の授業でリヒャルト・ワーグナーとその妻コジマとの関係をニーチェが語る話を教授がしていたことを覚えているぐらいで、今まで読んだこともないぐらい別世界でしたが、ニーチェの書かれた本の内容で面白いモノを“超訳”、非常に分かりやすくありがたかったです。
東京から名古屋に向かう新幹線の移動時間に十分読み終えるぐらいの内容なのですが、実にうまくまとめられてました。例えば、 「人間的な、あまりにも人間的な(Menschliches, Allzumenschliches)」の引用、“危険なとき”の一文などは解りやすい翻訳です(注1)。それこそ、勝って兜の緒を締めよ!!でしょうか。
サイエンス、いわゆる科学技術はこの数百年で飛躍的な進歩を遂げていますが、ヒューマンサイエンスといわれる人類の考え方やその進歩はほとんど変わっていないのも人気の秘密かもしれません。同じように、“孫子の兵法”などもThe Art of Warと翻訳されアメリカのビジネスマンの必読書になってます。
「超訳 ニーチェの言葉」、、、この本は来春大学受験の姪に読むようにと置いてきましたが、若い人にぜひ読んでもらいたい一冊です。
脚注(1)危険なとき:車に轢(ひ)かれる危険が最も大きいのは、一台目の車をうまくよけた直後だ。同じように、仕事においても日常生活においても、問題やトラブルをうまく処理して安心から気をゆるめたときにこそ、次の危険が迫っている可能性が高い。-人間的な、あまりにも人間的な(Menschliches, Allzumenschliches)-