Pearl Harbor
毎年この時期になるとアメリカ人の悪友から“Pearl Harbor Day” のメールを貰います。 私はいつも、あ“ドイツ軍”の攻撃ね!と返答する恒例の挨拶代わりになりっています。
今年はその彼からアメリカで今話題になっているこの本の事を聞き、早速アマゾンのキンドルで購入し読み始めました。 本のタイトルは”Pacific Crucible” です。 Crucible の意味ですが、名詞ですと「るつぼ」と金属を熱して溶かすセラミックで出来たモノの事を言うのですが、他の意味として「きびしい試練」とかがありますので、和訳するとすれば「太平洋の試練」とでも訳すのでしょうか。 太平洋戦争をまさに金属が溶けるような高温の環境に匹敵する試練と意味するのかもしれません。
著者のIan Toll氏は調べてみるとまだ44歳の”military historian” ですから軍事歴史学者?ですね。 お父さんの関係で日本に2年ぐらい滞在していたとも記されておりまして内容にも日本の事を著者にうまく伝えてくれる意欲が感じられました。 今までそれほど太平洋戦争に関する著書を読んだわけではありませんが、アメリカから見た日本軍などの「奇襲攻撃」を中心に語られた多い中でもこの本では、日本が真珠湾攻撃に至った経緯を日露戦争や1905年の対馬沖での海戦までさかのぼっての日本軍の歴史は今の日本人でも知らない人が多いと思います。
ロシア海軍を小国の日本、いや帝国海軍が破った快挙は、丁度その100年前に大英帝国軍がナポレオンをトラファルガーで破った事に匹敵するように言われた事や、その後の日本の太平洋戦争への参加する経緯、真珠湾攻撃とミッドウエーィ海戦などを山本五十六(最近日本でも映画化されていますが)のプライベートな側面も含め解説している内容はおもしろかったです。 外交官としての山本五十六の話など、アメリカと戦う事に対しての勝算なども一番良く理解していた山本五十六の葛藤なども良くリサーチしており、観点としては面白かったです。
先日、アメリカで活躍されている大先輩の方がハワイに観光に行かれた際にハワイのコンドミニアムに滞在されて、高層のベランダから眼下に見える真珠湾を見て。「若者だった私たちの父親世代が、勝利は困難と予測した司令官が居たにもかかわらず、日本国、家族を思い北東の山間から編隊を組み、翼に日の丸を染め抜いた戦闘機が急行下して来る様を想像し、暫し感慨に耽って時の経つのを忘れました」と言うお手紙を頂きました。
アメリカ人の一般常識としては奇襲攻撃をかけた日本軍としてのイメージしか無いのですが、今年で70年前にあった真珠湾攻撃を違う視点での語りは新鮮でした。
今の日本も大地震と津波の影響だけでなく、ヨーロッパの通貨不安やタイの洪水など、グローバルプレーヤとしての立場は近い将来にヒストリアンが同じように解析されるんでしょうか、、読み終えて考えてしまいました。